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青森県板金工業組合

舎利しゃり韋駄天いだてん足疾鬼そくしっき

作: 北村 蓮明




 京都の東山山麓に泉涌寺(せんにゅうじ)というお寺があり、そこにはお釈迦さまの牙舎利(げしゃり)(歯)が安置されている。
 経文や説法をされたお口に近い歯ということで特にありがたく尊い舎利である。
 出雲国から来た僧が、やっとのことで牙舎利を拝めることになり、韋駄天を従えた仏舎利を前に、心静かに拝んでいると、いつのまにか、そばで涙を流している男がいた。
 急に空がまっ黒になり、雷光が走りだし、その男は鬼に姿を変えると「我こそはその昔、お釈迦さまの骨を盗んで逃げた足疾鬼じゃ」と叫び、牙舎利をかかえ、虚空へ逃げ去ってしまったのである。
 増長天の弟子に足の速い韋駄天がおり、地の果てまで足疾鬼を追いつめ、こらしめて牙舎利を取り返してから、何千年もたつのにまた現れたのである。
 僧と寺男たちの祈りにより、韋駄天像が動き出し、すぐに後を追い始めると、天上界へと逃げる足疾鬼だったが、法力にはかなわず、ついに元の人間界へけ落とされてしまう。
 散々ふみつけられ、泣く泣く舎利を返したのである。
 僧たちが気がつくと、韋駄天は元の像の姿に戻っていたという。
 足疾鬼の気もちが正しい道に向かうよう祈り、僧は故郷へ帰って行った。


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