青森山田学園
朝比奈地獄破り
作: 北村 隆
朝比奈三郎義秀は「日本中に自分に手向かうほどの勇士はいないので、唐(中国)天竺(インド)はもちろん、地獄の鬼でもいいから、私に挑戦してくる奴に合わせてくれ」と十王堂に祈願した。
そしてその帰り道の居酒屋で大酒を飲んで寝入ってしまった。
朝比奈はそこでこんな夢をみた。
気持ちよく寝ていた朝比奈を、小鬼どもが嘲笑していた。
これに腹を立てた朝比奈が、鬼を追いかけて大河を渡ると、そこに地獄の城門がそびえていた。朝比奈は城門を押し倒そうと門の扉に両手を押し当てて、ひしひ しと押した。中では「破られるな。防ぐのだ」と閻魔王の配下の鬼たちが押し固めようとする。だが、朝比奈は小鬼にバカにされた怒りでパワー100倍。つい に城門を破ったのだ。そして、朝比奈は地獄を征服してしまった。さらに、地獄にあるすべての酒と山海の珍味を出させ、鬼どもに舞を舞わせた。
すると鬼どもの合唱は「まれ人は 花の盛りと みゆるぞや 風だに吹かば 我ものにせん」というのであった。
これを聞いて朝比奈ははっと気がついた。つまり、鬼どもはこう言っているのだ。
「朝比奈を呪って言う。今は力も強く盛んであるが、本当に死んでから地獄に来たら、我ら鬼の餌食になってしまうぞ」と。
さらに、閻魔王は「そもそも衆生の地獄に堕ちて苦しみを受くる事、さらによそよりなすにあらず。おのれおのれの罪、とがの報いなれば、鬼どもを討ち取ると ても、身の苦しみは逃るべからず」と。つまり「そもそも地獄に堕ちて苦しみを受けることになったのは、人のせいではなく自分の罪のためだ。だから鬼を討ち 取っても自分の身の苦しみからは逃れられないのだ」と。
時が過ぎればいかなる勇士も死に、地獄へ来れば鬼に責め苦を受ける事になる。
これに気づいた朝比奈は、そののちひたすら善を修したという。
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