プロクレアねぶた実行プロジェクト
北方天毘沙門[ほっぽうてんびしゃもん]
作: 野村 昂史

北方を鎮める毘沙門天。
四天王の一尊として世の安寧を司り、外なる敵のみならず、人の心の内に潜む乱れをも見据える存在。迷い、怒り、欲といった揺らぎはやがて形を持ち、邪鬼として現れる。
それは打ち倒すべきものではなく、誰しもが抱える内なる陰の象徴である。
毘沙門天は、その邪鬼に対し力でねじ伏せることなく、一歩も退かず、ただ踏みとどまる。
その在り様が、争いに至らぬ道を静かに示す。
宝塔を奪いし邪鬼より、ただ宝のみを取り返し、その身を罰することなく鎮める。
宝塔とは、仏の教え、すなわち揺るがぬ真理と安泰の象徴。
そこにあるのは、対立を生まずして秩序を取り戻す、真に強きものの静けさである。
混迷の世にあって、力と力がぶつかり合う中、
なおも争わず、守るという意志。
その揺るがぬ姿こそが、未来を照らす灯となる。