JRねぶた実行プロジェクト
北海の雄[ほっかいのゆう]
作: 竹浪 比呂央

日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌは、独自の言語を有し、独特の文様による刺繍、行事やまつりで踊られる古式舞踊など、豊かな文化を発展させてきた。アイヌ固有の信仰として、この世のもの全てに魂が宿るという考えも根付いており、事あるごとに神への祈りを捧げ、生きるために必要な動植物の命をいただくにあたっては最高の礼をつくして敬った。中でもヒグマは食用であると同時に特に敬うべき存在で、ヒグマの子を村へ連れてきて育てた後その魂を神々のもとへ送り返す「イヨマンテ」はアイヌの人々にとって重要な儀礼である。
近世以降、アイヌの人々は松前藩に支配され、明治以降も差別的扱いを受けたり和人への同化を強制されたりと長年にわたり苦しい状況下に置かれたが、その是正を求める動きが戦後次第に高まっていき、現在はアイヌの歴史や文化に関する理解の促進および多様な民族の共生を目指す取り組みが進められている。
厳しい環境のなか自然を敬い力強く生きるアイヌの人々を表したこのねぶたは、松前藩家老であり画人でもある蠣崎波響[かきざきはきょう]が描いた《夷酋列像[いしゅうれつぞう]》の中のイニンカリとイコトイ、そして彼らがまとう蝦夷錦から想を得たものである。今年開業十周年の節目を迎えた北海道新幹線が、北海道と本州を結ぶ架け橋として今後もアイヌ文化をはじめとする北方の魅力を広め、沿線の一層の賑わいを創出するよう期待を込めて。