サンロード青森

西塔　鬼若丸［さいとう　おにわかまる］

作: 吉町勇樹

鬼若丸とは、武蔵坊弁慶［むさしぼうべんけい］の幼名である。

その出生は凄まじく、母の胎内に十八ケ月もおり、生まれた時には既に髪と歯が生え揃っており、普通の子供の三倍もの大きさであった。

その姿から鬼若丸と名付けられ、すぐに比叡山延暦寺の西塔に預けられた。

その為、西塔の鬼若丸とも言われる。

しかし、鬼若丸は手の付けられない暴れん坊で、寺の和尚も呆れる程であった。

そんなある時、横川［よかわ］の池で身の丈八尺もある巨大な化け鯉が大暴れし人々を苦しめていた。

すると、鬼若丸は短刀一つ携えて単身池に飛び込むと、激闘の末見事に化け鯉を仕留め、寺の僧達を驚かせた。

後に、五条大橋で牛若丸［うしわかまる］（源義経［みなもとのよしつね］）と出会い、義経に一生の忠誠を捧ぐ事になろうとは、この時誰も思うはずもなかったであろう。

 

ねぶたは、美しい比叡山を舞台に、池に咲き誇る蓮の花を舞散らし、暴れ狂う化け鯉と、それに勇猛果敢に立ち向かう鬼若丸の姿である。

 

少子高齢化や若者の中央流出が著しい今。

次世代を担う若者が大きく羽ばたき、明るい世の中が未来永劫に続く事を望むものである。