に組・東芝

堀川夜襲

作: 北村　隆

　弁慶は武蔵坊(むさしぼう)弁慶(べんけい)といい、義経に仕(つか)え怪力(かいりき)無双(むそう)の荒(あら)法師(ほうし)で名高く弁慶の七つ道具として言い伝えられている道具を束(たば)ねて背負っている。

　一方、土佐坊は土佐坊(とさぼう)昌(しょう)俊(しゅん)といい源頼朝(みなもとのよりとも)に臣従(じんじゅう)し御家人として治承(ちしょう)、寿(じゅ)永(えい)の乱に参加している。

　源平時代の武蔵坊弁慶と土佐坊昌俊はどちらも凄腕(すごうで)坊主(ぼうず)として名高く、東の弁慶、西の昌俊と呼ばれている。

　文治(ぶんじ)元年、頼朝の弟義経が対立すると、義経を許さず腰越(こしごえ)から追い返した後、土佐坊を京都に派遣し堀川の館の義経を打つように命じた。

　土佐坊は熊野詣(くまのもうで)と偽って京に宿をとったが、これを怪しんだ弁慶は単身土佐坊の宿所(しゅくしょ)に乗り込む。

これが御所(ごしょ)桜(ざくら)堀川(ほりかわ)夜討(やうち)といわれる場面である。