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ねぶた愛好会

義人権太夫

作: 諏訪 慎




 いまから500年ほど前。岩木川の水を引いた杭止堰という用水の取り入れ口があった。ある年の、田植え時期、村人たちが水を引こうとして杭止堰にいったところ、大雨により崩れた土砂が、取り入れ口をしっかりふさいでいた。

 懸命の復旧作業も、度重なる事故が相次ぎ、作業は一向に進まなかった。

 それを見た堰神の神官・権太夫は、村人の難儀を救おうと自ら杭止堰の取水口に立ち「われ今は一命を捨て、水神 願わくば志を受納し垂れたまえ」と祈り、わが身を杭に打たせて水底に沈んだ。それ以来堰は崩れることはなかった。

 村人たちは、権太夫に深く感謝し、「義人・権太夫」と崇め、杭止神社を建立し、厚くその霊を祀ったという。

 いまも大久保(岩木町)の用水取り入れ口に「義人権太夫」の碑が建てられている。


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