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に組・東芝
竹生島詣で
作:北村 隆





琵琶湖に緑の影を映す竹生島は、昔から神の島として知られ、日本三弁天を祀る宝厳寺がある。
昔、琵琶の名手、松室仲算の前に一人の童子が現れ、「私は毎年竹生島に集い夜宴を催すことにしております。が、今年は私が琵琶の役に当たりました。ぜひ、貴方の琵琶をお貸しいただきたい」といって姿を消した。
不思議に思いながらもある夜、縁に琵琶を置き、香をたいて待っているとやがて瑞雲が下がり琵琶を包んで空へ昇っていった。しばらくして深夜、不思議にも夜空に彩雲がたなびき、妙なる琵琶の音が湖上を流れると思ううち、雲は消え琵琶の音もやみ、仲算の舟に琵琶が投げ落とされたと言う。以来この琵琶は竹生島の什宝となったのである。
 源平時代・・・木曾義仲追討のため兵を進めた平家の副将・平経正は、途中竹生島へ詣で戦勝を祈願した。詩歌管弦に長じ、とりわけ琵琶の名手として聞こえた経正は僧たちが手渡す琵琶を取り上げ上弦石上の秘曲を奏でると、美しい音色が静かに夜気の中へ流れていく。と、突然、龍に姿を変えた神が出現した。
感極まった経正は琵琶をおき
「ちはやぶる神にいのりのかなへばや しるくも色のあらはれにける」
と詠んで神前にささげ戦勝疑いなしと竹生島をたっていったという。 
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